祖母の話

 

なんだか最近ずっと誰かにわたしの胸の内を聞いてもらいたくて、それは寂しさなんだって気付いて絶望した。寂しさを埋める方法がわたしにはわからない。ということで自分語りをしようと思うので、興味がある人は見ていただけると嬉しい。多分何も得られるものはない。

 

 

 

わたしの祖母は厳しい人だ。

 

両親が共働きだったためわたしとわたしの弟の世話をしていたのは主に祖母だった。毎朝うちに来て、一日中家事や買い物、わたしたちの送り迎えをして、夜になると眠りに帰る。そしてまたうちに来る。

そのころ祖母は何歳だっただろう、とんでもない重労働だったに違いない。なにせ休みがないのだ。

 

そんな祖母は、わたしたちを育てることを誇りに思っていた。怒る時はヒステリックになって、自分の思い通りにいかないことがどうしても許せないみたいだった。

怒ると自分の家に帰ろうとした。家事も何もかもほったらかしで。わたしたちは泣きじゃくってそれを止めていた。確か小学生のころだったかな。中学生になってその方法が通用しなくなってくると、ぱたりとその怒り方をやめていた。

その他にも、泣いたり、マンションのベランダから飛び降りようとしたり、しまいには包丁を取り出してきたりしていた。うちの床には祖母が椅子を投げた時の傷がまだ残ってる。今でも思い出せる。「おばあちゃんが本当に死んでしまったらどうしよう」「おばあちゃんに殺されるかもしれない」

おばあちゃんが包丁を持った時のあの目が忘れられない。

 

「おばあちゃんの言う通りにすれば、何も間違うことはない」

 

そう、毎日のように言い聞かせられていた。確かにいい祖母だったけれど、同時に子を育てるのに向いていない性格でもあったんだと思う。

わたしの今の性格の8割はこの人が作ったんだと今では考えているし、少し、いや、かなり憎い、と思う時がある。自分が育てた。そのことだけを今は自慢にしていて、あのわたしのトラウマになった怒り方なんかに触れることは一切ない。覚えていないのかもしれない。だけど、わたしは一生許せないと思う。

 

 

とかこんなことを最近毎日のように思ってる。なんのオチもない話。

母に昔の祖母の行動をほんの少しだけ話したことがあるけれど、あの人はああだから許してあげて、とだけ言われてスルーされてしまった。

わたしのことを理解してくれる誰かがほしいと思ってしまった一件だった。何があっても絶対に離れていかない絶対的な味方、みんなほしいよね。わたしもほしい。

 

寝よう。

 

 

 

 

蓮の数式





 蓮の数式 という本を読んだ。

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久しぶりに引き込まれるように小説を読んだ。最近買っても買ってもなんとなく気分が乗らなくて結局読まない、みたいな本ばっかりだったから、読書が嫌いになったと思ったのだけど、違う。単に好みじゃなかったからだ。



読み終わった後、どうしようもない絶望感と幸福が心の中でぐちゃぐちゃになった。愛ってなんだろう。幸せって、死ってなんなんだろう。
人の良いところと悪いところが一気に読んでるわたしを襲ってきて、苦しくなった。



正直、後味は悪いと思う。だけど是非読んでいただきたい。



蓮の数式

蓮の数式







不倫の話





母は浮気をしている。多分、現在進行形で。
それを知っているのは多分わたしだけで、多分気付かれていると本人は思っていない。



わたしは今18歳の高校三年生で、大人から見るとまだまだ子供なのだと思うし実際すごく子供だ。考え方も、行動も、幼稚だと我ながら思うこともある。子供なりに人生経験を積んできた。そんな経験の中で、“母の不倫”というのはもうとてつもなくとんでもなく衝撃的な出来事だった。



わたしがもっと幼い頃(即ち幼稚園児とか小学生だった頃だけど)、わたしは根っからのお父さんっ子で、中学一年生になるまで父とは手を繋いでた。わたしとは違うあたたかくて大きい手のひらが大好きで、優しそうな笑顔もまた好きだった。
中学生になって(ここで書くとすごく長くなると思うので今日は割愛します)いろいろ環境が変わって、素直に父が好きだとは言えなくなってしまっていたけど、それでも父と一緒にいると安心したし心地よかった。と思う、記憶はあやふや。

高校二年生。父の会社が倒産した。
ずっと一人で細々とやっていた会社だった。一人で土日まで働いていた。ひたすら働いていた。
頑張っていたのは知っている。だけどあまりにも一人で解決しようとしすぎて、抱えきれなくなるまで大きくなってしまったその問題はわたしの家庭にまで影響を及ぼした。


父と母が会話をしなくなった。主に母が無視を決め込んでいただけだけど。
たまに二人だけのリビングで、静かにお金の話や会社の話をしていた。
父は頼りない。娘であるわたしは、それをこっそりと聞きながらそう感じた。
母はわたしに父の愚痴を吐く。わたしはそれを聞く。確かにそうだと思いながら聞いていた。母の気持ちが痛いほどわかると同時に、父が可哀想だとも思った。
たった二回の面接で通った方の会社に就職して、働き始めるまでの一、二ヶ月ほどはここぞとばかりにゲームをしていた。ヘッドフォンをつけながらゲーム仲間と会話をするその姿に失望した。
だけどそれでも、父が心配だった。離婚したらどうしよう。これから何が起こるかわからない。父は一人でどうなるんだろう。今でも十分に太ってるのに、一人で暮らして、体調を崩してしまったらどうしよう。どうしよう。不安だ。


こんなことをわたしは考えていた。ずっと考えていた。
母とは元々仲が良かったけど、父の愚痴を聞いているうちにもっと仲が良くなった。
服をよく買いに行くようになった。何十年ぶりにスカートを買っていた。
脱毛に興味があると言い出した。あれ?と思った。
化粧品にも凝り始めて、今まで適当に済ませていた化粧品をほとんど百貨店のものに変えた。

そして、メールを見た。通知画面に映し出された文字が信じられなかった。

「会いたいよ」
「娘とか旦那さんがいるでしょ?」
「いじわる言わないで。あなたに会いたい」
他のやり取りは正直あんまり覚えていない。すごく図太い神経だなと自分でも思う。
だけどこの会話だけは、結構時間がたった今でも思い出して泣いてしまうことがある。悲しかった。傷ついた。母にとって一番は、子供ではなく不倫相手なのだと、そう言われた気がした。




母が好きだ。今まで散々迷惑をかけてきたけど、それでも笑いながら暗かったわたしのことを可愛いと言ってくれた。
父が好きだ。あの大きな手のひらをわたしはずっと忘れることはないだろうと思う。


明日、母と二人で食事に行く。「話がある」と言ってある。もしかしたら勘付いているかもしれない。
どうやって話をしたいのかも、結局わたしは母にどうしていいのかも、よく分からない。怒りたいわけじゃない。関係を壊すのも嫌だ。
もう一度、母を信じてみたいと思った。
母の気持ちを聞いてみたい。何も考えずに話せていたあの頃に戻りたい。


ここまで自分語りをしてきたけど、こうやって一連の流れをまとめることで整理したかったというのが大きな理由だ。
あんまりまとまってないし、読みにくい文章だろうけど。

いるかは分からないけれど、ここまで読んでくださりありがとうございます。
また結果は報告します。
ではこれで。また。